【真相】ニトリ渋谷公園通り店はなぜ閉店?撤退理由と跡地の現在を追跡
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渋谷駅から公園通りへと続く坂道を登った先、神南一丁目交差点の角にそびえ立っていたニトリ渋谷公園通り店。同店が閉店を発表した際、SNS上では「いつも混んでいたのにどうして」「渋谷のランドマークが消える」と驚きと困惑の声が広がりました。表向きに発表された公式の事由は、「建物オーナーとの5年間にわたる定期建物賃貸借契約の満了」です。契約更新を行わず、あらかじめ設定されていた期日に合わせて営業を終了させた形ですが、流通のプロが見据える撤退の深層には、都市型多層階店舗ならではのシビアな採算問題が存在していました。
最大の構造的ネックとなったのが、地上1階から9階という「極端な縦長フロア構成」です。郊外型のニトリであれば、1フロア数千平方メートルの広大な平面でリビングから寝室までをシームレスに見渡せます。対して公園通り店は、各フロアの面積が約400平方メートル前後と手狭であり、上層階へ行くにはエスカレーターを乗り継ぐ必要がありました。当時の店内観察でも、1階の季節雑貨や2階のキッチン用品には黒山の人だかりができる一方、7階から9階のベッドや大型ソファ売り場は客足が著しく滞留しにくいという、階層間格差が顕著に浮き彫りになっていました。
さらに、渋谷という街を行き交う顧客層の消費行動と、ニトリが誇る「大型家具」のビジネスモデルとの間にも深刻なズレが生じていました。渋谷を訪れる若者やインバウンド(訪日外国人客)がその場で購入して持ち帰れるのは、クッションや食器、コスメ収納といった小型雑貨に限られます。「渋谷の店舗で実物を見て、後からネット注文する」というショールーミング需要は旺盛だったものの、一等地における高額な床面積賃料とフロア運営の人件費を、低単価の雑貨売上だけで相殺し続けるには限界がありました。契約満了はニトリにとって、都市型ビジネスモデルを最適化するための極めて合理的な決断だったといえます。