東京五輪マラソンはなぜ札幌へ移転?電撃発表の真相と遺された教訓

東京五輪マラソンはなぜ札幌へ移転?電撃発表の真相と遺された教訓についての真相をご紹介します。

開催まで1年を切っていた2019年10月16日、国際オリンピック委員会(IOC)が突如として発表した「東京五輪マラソン・競歩の札幌移転案」は、日本中に凄まじい激震を走らせました。この急転直下の決定に至った最大の引き金は、直前の同年9月下旬から10月上旬にかけてカタールで開催された「ドーハ世界陸上マラソン」における阿鼻叫喚の光景でした。

中東の熱波を避けるため、異例の「深夜23時59分スタート」が採用されたドーハ女子マラソンでしたが、スタート時の気温は32.7度、湿度は73%に達していました。過酷を極めた環境下で選手たちは次々と倒れ、出場した68人中28人が途中棄権(棄権率約41%)に追い込まれる事態となったのです。車椅子やストレッチャーで次々に搬送されるランナーの凄惨な映像は世界中に配信され、国際陸連やIOCには「アスリートの生命を危険に晒す非人道的な大会運営だ」と猛烈な批判が殺到しました。

当時、IOCのトーマス・バッハ会長を中心とする首脳陣は、同様の惨劇が翌夏の東京五輪で再現されることを何としても防がなければならないというパニックに近い危機感を抱きました。東京の夏の暑さはかねてより懸念材料として挙げられていましたが、ドーハの惨状を目の当たりにしたことで、「東京での開催強行は取り返しのつかない致命傷になりかねない」という判断がIOC中枢で一気に固まったのです。

そこで浮上したのが、東京よりも北方に位置し、冷涼と見なされていた北海道・札幌市でした。こうして猛暑対策と熱中症リスクの回避という大義名分のもと、IOCバッハ会長の電撃発表によって東京五輪マラソン札幌移転の理由付けが一気呵成に進められることになりました。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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