南インドカレーの沼に落ちる理由とは?北との違いと名店・食べ方完全解剖
南インドカレーの沼に落ちる理由とは?北との違いと名店・食べ方完全解剖とはどのようなものなのか? 主要なファクトを丁寧に紐解いて紹介します。
日本の外食産業で数十年にわたり定着してきたインド料理の多くは、実は北インドやパンジャーブ地方の宮廷料理をルーツに持ちます。一方、南インド(タミル・ナードゥ州、ケーララ州、カルナータカ州、アーンドラ・プラデーシュ州など)の料理は、地理的・気候的要因から全く異なる進化を遂げてきました。
熱帯気候に属する南インドは、豊かな稲作地帯であり、海岸線には見渡す限りのココナッツヤシが茂ります。そのため、主食はチャパティやナンといった小麦生地ではなく「米」。調理用油脂も動物性のギー(澄ましバター)より植物油(ごま油、ココナッツオイル、マスタードオイル)が重用されます。とろみを出すための小麦粉やカシューナッツペースト、濃厚な生クリームはほとんど使われず、サラリとしたスープ状のテクスチャーが基本です。
南インドカレーがヘルシーとされる科学的理由は、明確な栄養構造に裏打ちされています。ベースとなるのは、ツールダール(キマメ)やムングダール(緑豆)を煮崩した植物性タンパク質豊富な出汁。そこに抗炎症作用が知られるターメリックや消化を促す黒胡椒、クミンをテンパリング(油で熱して香りを引き出す技法)して加えます。さらに、レモンのようなキレを持つタマリンドのクエン酸が加わることで、塩分や油分を過剰に添加せずとも、驚くほど輪郭のくっきりとした旨味を感じられるのです。