ハブとマングース戦わない真相|沖縄の誤算と奄美根絶の全内幕
ハブとマングース戦わない真相|沖縄の誤算と奄美根絶の全内幕に関する専門家の意見を詳しく解説いたします。
なぜ本来生息していない外来生物が日本に放たれたのか。その発端は、1910年(明治43年)にまで遡ります。当時、サトウキビ畑などで農民がハブに咬まれる被害が深刻化しており、農作業の安全確保とネズミ駆除は地域の大命題でした。
東京帝国大学の動物学者であった渡瀬庄三郎博士の進言を受け、バングラデシュ近郊から17匹のフイリマングースが那覇近郊に導入されました。当時は「生物農薬」として害獣を天敵で駆除する試みが世界的に推奨されており、科学的な生態調査が不十分なまま放獣が行われたのです。さらに1979年には、同様の目的で奄美大島にも約30匹が放たれました。
しかし、この試みは日本の環境行政史上に残る「世紀の誤算」となりました。危険なハブを避けたマングースは爆発的に繁殖し、島固有の生態系へ襲いかかりました。特に飛翔能力を持たないヤンバルクイナや、太古の姿を色濃く残すアマミノクロウサギ、ケナガネズミ、オキナワイシカワガエルといった南西諸島の貴重な固有種が次々と捕食され、絶滅の危機に瀕する事態へと発展しました。
ハブを減らすどころか固有種を食い荒らす破壊者となったマングースは、2005年に施行された外来生物法に基づき、国家レベルで排除すべき「特定外来生物」の筆頭に指定されるに至ったのです。