日本レコード大賞の選考基準規程には、「作曲、編曲、作詞を通じて芸術性、独創性、企画性が顕著である作品」「優れた歌唱によって活かされた作品」「大衆の強い支持を得た上、その年度を代表したと認められた作品」と明記されています。歴代の受賞傾向を振り返ると、かつてはCDシングル売上枚数が選考における絶大なウェイトを占めていましたが、2010年代後半以降、ビルボード・ジャパン総合ソング・チャート(JAPAN HOT 100)に代表される複合指標への適応が強く求められるようになっていました。
候補楽曲 / アーティスト配信・サブスク再生実績(当時)CDセールス / フィジカル選考結果と評価のポイントDa-iCE 「CITRUS」累計1億回再生突破(日本人男性ダンス&ボーカルグループ初)限定的(配信先行・タイアップ主導)第63回日本レコード大賞受賞。実力派ツインボーカルの歌唱力と大衆への浸透度が最高評価。LiSA 「明け星」配信チャート首位独占・高水準再生10万枚超(ゴールドディスク認定)優秀作品賞。2連覇の期待が高まるも、前年『炎』のインパクトとの比較が審査に影響。Awesome City Club 「勿忘」累計2億回再生突破(年間上位)アルバム中心のフィジカル展開優秀作品賞。映画タイアップによる大衆的人気と洗練された音楽性が高評価を獲得。乃木坂46 「ごめんねFingers crossed」定額制配信での堅調な推移ミリオンセラー(約100万枚)優秀作品賞。圧倒的なCDフィジカル売上を記録し、長年の実績と存在感を示す。NiziU 「Take a picture」ストリーミング1億回再生突破約30万枚(プラチナ認定)優秀作品賞。若年層を中心とする高い支持と抜群のダンスパフォーマンスが評価。
データを見ても明らかなように、2021年のノミネート作品は「フィジカル(乃木坂46)」「社会現象アニメ(LiSA)」「サブスクバイラル(Da-iCE、Awesome City Club)」という3つの異なる潮流が激しく拮抗していました。審査委員会は「今年の大衆支持とは何か」という根源的な問いに向き合うこととなったのです。