『旅の絵本』の緻密な仕掛けと未公開秘話!安野光雅の世界観を解剖
『旅の絵本』の緻密な仕掛けと未公開秘話!安野光雅の世界観を解剖に関する専門家の意見を分かりやすく解説いたします。
文字のない絵本として出版史に刻まれる『旅の絵本』シリーズ(福音館書店)は、まさに彼の集大成といえる。馬に乗った一人の旅人が広大な風景を巡るこの作品には、ページの隅々に歴史的名画のパロディや童話の登場人物、さらには地元の風景がコラージュのように隠されている。一回読んだだけでは絶対に気づけない暗号が、全編にわたって張り巡らされているのだ。
一方、アルファベットの造形美を追求した『ABCの本』では、木目模様や立体構造の中にあり得ない接合部を持つ「不可能な木構造」が組み込まれている。日本の児童文学界において、視覚的な知育と芸術性をこれほど高い次元で融合させた例はほかにない。子ども向けという既成概念を鮮やかに打ち破った作品群は、大人の鑑賞にも耐えうる美術書として多大な評価を獲得した。