「ブルータス、お前もか」の真相|名言の真意と裏切りの史実を徹底解明
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カエサル暗殺の首謀者の一人となったマルクス・ユニウス・ブルータスは、なぜ自分を誰よりも引き立ててくれた大恩人を裏切ることになったのでしょうか。その背景には、個人の情愛と国家の理想の間で引き裂かれた壮絶な葛藤がありました。
カエサルにとってブルータスは単なる部下ではありませんでした。ブルータスの母セルウィリアはカエサルが生涯で最も深く愛した女性の一人であり、カエサルはブルータスを実の息子のように可愛がり、内戦で敵対陣派に属していた際も命を助けたうえで、要職である法務官(プラエトル)に抜擢するなど破格の寵愛を与えていました。
しかし、ブルータス家の家系には重い宿命が横たわっていました。ブルータスの一族は、およそ500年前にローマ最後の王を追放し、「共和政ローマ」を創始した伝説の英雄ルキウス・ユニウス・ブルータスの子孫だったのです。当時のローマ市民や元老院議員の間では、「王政を許さないブルータスの血筋でありながら、独裁者に媚びへつらうのか」という無言の圧力がブルータスに強くのしかかっていました。
「カエサル個人を深く敬愛していたが、独裁者となった彼を放置すればローマの自由が死ぬ」——。共和主義者カッシウスらの熱心な説得もあり、ブルータスは私情を捨て、祖国と共和政の守護者としてのアイデンティティを選び取る決断を下しました。