Elt『Shapes of Love』解体新書|90年代の金字塔が放つ真価
Elt『Shapes of Love』解体新書|90年代の金字塔が放つ真価に関する主要なデータを丁寧に解説いたします。
『Shapes Of Love』の作詞・作曲・編曲を一手に担ったのは、初期ELTの頭脳であり希代のヒットメーカーである五十嵐充です。五十嵐が構築したサウンドスケープは、単なるユーロビート歌謡にとどまらない、極めて精緻な計算の上に成り立っていました。
楽曲の根底を支えるのは、BPM130台後半で刻まれるタイトな16ビートと、Rolandの名機シンセサイザー群が織りなすきらびやかなシーケンスフレーズです。そこにギタリスト・伊藤一朗による鋭角的なカッティングと情感豊かなディストーションギターが重なることで、デジタルとアナログのハイブリッドな躍動感が創出されています。
一方、リスナーを惹きつけて離さないのが『Shapes Of Love』の歌詞の意味です。タイトルが示す「愛の形(Shapes Of Love)」とは、完成された恋愛の美しさではなく、揺れ動く未完成な心のプロセスを指しています。
歌詞中では、友だち以上恋人未満の曖昧な関係に対する焦燥感や、「本当の気持ちを伝えたら今の関係が壊れてしまうのではないか」という青年期特有の心理的葛藤が描かれます。臨床心理学でいう「拒絶への防衛機制」と「自己開示の欲求」の間で揺れるリアルな心情が、飾らない言葉で紡がれているからこそ、聴き手は自己の体験を重ね合わせ、強いカタルシスを得ることができるのです。