デイゴの花が咲くと大災難?不吉な噂の真相と激減した衝撃の理由
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沖縄を訪れた観光客や移住者から「ガイドブックで見たような満開のデイゴ並木を見かけない」「沖縄県民に聞いても最近咲いているのを見ないと言われた」という声を頻繁に耳にします。かつて島中を赤く染めていたデイゴの花が咲かない理由には、2000年代半ばから始まった生物学的な壊滅危機がありました。
元凶となったのは、体長わずか1ミリから1.5ミリほどの外来害虫「デイゴヒメコバチ(Quadrastichus erythrinae)」です。2005年5月に沖縄本島および石垣島で国内初確認されたこの微小なハチは、デイゴの新芽や幼葉に卵を産み付けます。幼虫が組織内で成長する過程で異常なコブ(虫えい・ゴール)が形成され、葉が奇形化して光合成ができなくなり、最終的には花芽をつけるエネルギーを奪われて木全体が立ち枯れ(枯死)に至ります。
侵入直後の2000年代後半には、沖縄県内のデイゴの8割以上が被害を受け、樹齢数百年の古木や名木が次々と伐採に追い込まれるという悪夢のような事態に陥りました。伝統漆器の木地供給がストップしかねない文化財的危機に直面した県や森林研究機関は、総力を挙げた防除プロジェクトに着手しました。
デイゴ枯死問題と再生の経緯を振り返ると、救世主となったのは2010年代以降に確立された「樹幹注入剤(ネオニコチノイド系薬剤など)」の定期散布・注入技術です。幹に穴を開けて薬剤を吸い上げさせ、害虫の寄生を直接防ぐ手法により、首里城周辺や県道沿いのシンボルツリーは劇的に回復しました。さらに、原産地アフリカからデイゴヒメコバチの天敵である寄生蜂「デイゴカタビロコバチ」を導入する生物的防除の研究も進展しました。
デイゴヒメコバチ被害の現在においては、公的予算で定期管理されている主要公園や文化財のデイゴは樹勢を取り戻し、毎年美しい花を咲かせるレベルまで回復しています。しかし、民有地や山林に自生する樹木までは防除費用(1本当たり数万円の薬剤コストが数年おきに必要)が行き届かず、現在も手つかずの木が枯れ続けているという二極化が最大の課題として残されています。