抗菌薬と抗生剤の違いとは?風邪に効かない理由と耐性菌の真実
抗菌薬と抗生剤の違いとは?風邪に効かない理由と耐性菌の真実に関する疑問や疑問点を徹底的にまとめました。要点を確実におさえることができます。
調剤薬局の窓口やSNSの健康相談コミュニティにおいて、後を絶たないのが「症状が治まったから、残りの抗生剤を飲むのをやめて保管した」という告白です。大手調剤グループが過去に実施した服薬状況調査では、患者の約3割から4割が処方された日数を飲み切らずに自己中断した経験を持つという衝撃的な実態が浮かび上がっています。
臨床感染症の専門医が「処方された抗菌薬は指示通りに飲み切れ」と口を酸っぱくして警告するのには、明確な科学的理由が存在します。
服用を開始して2〜3日経つと、症状の原因となっていた細菌の大部分が死滅し、熱が下がって痛みも消えます。しかし、この段階では「菌の数が大幅に減っただけで、体内から完全に根絶されたわけではない」のです。生き残っているのは、薬に対して比較的しぶとい性質を持った菌です。この中途半端なタイミングで服用をストップすると、生き残った菌が再び増殖を始めます。しかも、次に増殖する菌は少量の薬に晒されて耐性を獲得した菌であるため、同じ薬を飲んでも二度と効かなくなるリスクが生じます。
一方で、患者が服用を途中でやめてしまう最大の要因となっているのが「下痢や軟便」などの消化器系の副作用です。
抗菌薬は病原菌だけでなく、腸内で健康維持を担っているビフィズス菌などの善玉菌まで無差別に攻撃してしまいます。腸内細菌叢のバランスが崩れることで、水分の吸収がうまくいかなくなったり、薬に耐性を持つクロストリディオイデス・ディフィシル菌などが異常増殖して腸炎を起こしたりします。
下痢が生じた場合の正しい対処法は以下の通りです。
- 市販の下痢止めを勝手に飲まない:ロペラミドなどの強力な止瀉薬は、腸管内の毒素や細菌の排泄を止めてしまい、病状を急激に悪化させる危険があります。
- 処方医・かかりつけ薬剤師に即座に相談する:耐性乳酸菌製剤(抗生剤の影響を受けない特殊な整腸剤)が併用処方されているか確認し、便の回数や性状を伝えて薬の変更や中止の指示を仰いでください。
- 脱水を防ぐ水分補給を徹底する:電解質を含む経口補水液などを少量ずつ頻回に摂取し、脱水症を回避することが最優先となります。