石原さとみ『幕末純情伝』の衝撃|つかこうへいが絶賛した怪演の真相
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つかこうへいの舞台といえば、事前に渡される台本がなく、稽古場で演出家が役者の感情を限界まで追い込みながらその場でセリフを授けていく「口立て(くちだて)」と呼ばれる過酷な演出手法で知られています。妥協を一切許さない怒号が飛び交う現場において、20代前半の若手女優が精神的に追い詰められるケースも珍しくありませんでした。
しかし、石原さとみはこの極限状態の稽古において、驚異的な適応力と集中力を発揮しました。当時のインタビューや関係者の証言によると、彼女は演出家の鋭い言葉の刃をすべて真正面から受け止め、即座に自らの血肉へと変換していったといいます。つかこうへいは生前、彼女の演技力と舞台度胸について次のように称賛の言葉を残しています。
「さとみは化け物だ。あんなに可憐な顔をして、腹の底には底知れない情念と狂気を飼っている。彼女の沖田総司に出会えたことは、劇作家として無上の喜びだ」
単に指示通りに動くのではなく、役の痛みを自らの身体感覚として引き受け、舞台上で炸裂させる天性の勘とタフネス。これこそが、数多くの名優を育て上げてきた名演出家を唸らせた決定的な理由でした。