上用饅頭とは?薯蕷饅頭との違いや歴史・普通の饅頭と一線を画す秘密
上用饅頭とは?薯蕷饅頭との違いや歴史・普通の饅頭と一線を画す秘密について見逃せない 理由を分かりやすい構成で解説いたします。
和菓子店に立ち寄ると、「上用饅頭」と「薯蕷饅頭」という2つの表記を見かけて戸惑うことがあります。結論から言えば、この2つは基本的に同じ和菓子を指しています。じょうようまんじゅう読み方としては「じょうようまんじゅう」あるいは古風に「じょうよまんじゅう」と読まれ、製法や骨格となる配合に決定的な差はありません。
言葉のルーツをたどると、「薯蕷(しょよ・じょうよ)」とは漢語で山芋(特にヤマトイモやナガイモなどのヤマノイモ属)を指す言葉です。山芋をすりおろして生地に抱き込ませて蒸し上げたものが「薯蕷饅頭」であり、その歴史的経緯から「上用」の文字が当てられるようになりました。つまり、素材の特性を表す植物学的な呼称が「薯蕷饅頭」、歴史的な格式や用途を表す尊称が「上用饅頭」という関係性にあります。
一方、コンビニエンスストアや観光地で見かける「普通の饅頭」と上用饅頭との間には、職人の技法と原材料における決定的な断絶が存在します。その核心を3つのポイントに整理しました。
- 膨張剤(ベーキングパウダー・イスパタ)の有無:普通の小麦粉饅頭(利休饅頭や温泉饅頭など)は、小麦粉のグルテンにベーキングパウダーを加えて化学反応の炭酸ガスで膨らませます。対して上用饅頭は、すりおろした山芋が抱え込む無数の微細な空気の泡と、蒸気熱による気化熱の力だけで生地をふっくらと持ち上げます。添加物に一切頼らない自然の物理現象を利用しているのです。
- 主原料の差異(米と芋 vs 小麦):普通の饅頭の皮は小麦粉が主役ですが、上用饅頭の皮は大和芋・山芋の原材料に、極めて細かく製粉された米粉(上用粉)を合わせて作られます。グルテンが形成されないため、重たくならず、独特のホロリと崩れる繊細なテクスチャーが生まれます。
- 皮の保水性とテクスチャー:山芋特有の粘り成分(ムチン質や糖タンパク質)が水分を強固に抱え込むため、蒸し上がりの皮は赤ちゃんの肌のように吸い付くような潤いを湛えます。パサつきが一切なく、しっとりとしたコシがある口当たりは、他の蒸し菓子では決して再現できません。