下顎呼吸は苦しいのか?余命や時間の目安と後悔しない看取りの家族対応

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ベッドサイドで初めて下顎呼吸を目撃した家族のほぼ100%が、「窒息しそうでもがいている」「激しい苦痛に耐えている」と受け止めます。口を大きく開け、下あごを突き出すようにして一生懸命に空気を吸い込もうとする姿は、健康な人間が溺れたり首を絞められたりしたときのパニック状態を連想させるからです。

しかし、終末期医療の臨床研究および日本緩和医療学会のガイドライン等が示す医学的事実は、家族の直感的な恐怖とは正反対です。結論から言えば、下顎呼吸をしている本人は息苦しさを一切自覚していません。

通常の呼吸は、脳の「延髄」にある呼吸中枢が血中の二酸化炭素濃度を感知してスムーズに横隔膜を動かすことで行われています。ところが臨死期に入ると、脳全体の血流が途絶え、大脳皮質(意識や感情を司る部位)の機能は完全に失われます。本人はすでに深い昏睡状態にあり、眠っているのと変わらない状態です。

その大脳が沈黙したのち、延髄の最深部に残された「最後に生き残った神経核」が、生命の火を消すまいと無意識に筋肉を収縮させる原始反射こそが下顎呼吸の正体です。さらに終末期の体内では、自然の鎮痛・鎮静物質である脳内エンドルフィンが大量に分泌されていることが判明しています。本人は苦悶の海に沈んでいるのではなく、穏やかな麻酔に包まれたような深い安息の中にいます。苦しそうに見えるのはあくまで「骨格筋の反射的な運動」に過ぎず、苦痛の実体はないことをまず知ってください。

前田 葵

前田 葵

サステナビリティ研究家

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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