『ハウルの動く城』の犬ヒンの正体|サリマンを裏切った理由と裏設定
『ハウルの動く城』の犬ヒンの正体|サリマンを裏切った理由と裏設定の全体像を分かりやすくまとめてご紹介します。
サリマンのスパイという重大な任務を負っていたヒンは、なぜいとも簡単にソフィーたちの一味へと寝返ってしまったのでしょうか。作中で描かれた行動変化を追うと、そこには打算と本能が入り混じった極めて合理的な理由が存在します。
最大の転機となったのは、王宮の大階段におけるソフィーの無償の行動です。足腰の弱ったヒンを「ハウルかもしれない」という誤解からとはいえ、自身の腰痛に耐えながら抱きかかえ、サリマンの元へと送り届けました。さらに王宮の謁見室でサリマンがハウルを追い詰めた際も、ソフィーはヒンを邪険に扱わず、荒れ狂う魔法戦の最中でさえヒンを気遣い保護しました。
サリマンとヒンの関係は、絶対的な主従関係に基づく「能力による条件付きの評価」でした。任務をこなす道具としての扱いに甘んじていたヒンにとって、文句を言いながらも泥臭く抱きしめ、温かい居場所を提供してくれるソフィーの元は、これ以上ないほど居心地の良いオアシスだったのです。
物語のクライマックス、サリマンが水晶球を通じてヒンに状況を問い詰めた際、ヒンはハウルとソフィーが寄り添う姿をあっけらかんと中継し、主君に対して完全に「敵陣営の幸福」を肯定してみせました。これを見たサリマンが思わず漏らした「あの浮気者め」というセリフは、ヒンが忠誠ではなく「自身の幸福と居心地」を優先してサリマンをあっさり袖振ったことへの、悔し紛れの賛辞でもありました。