原核細胞と真核細胞の違いとは?構造の決定差と進化の謎を徹底解明
原核細胞と真核細胞の違いとは?構造の決定差と進化の謎を徹底解明について専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をチェックしてください。
これほどまでに複雑な真核細胞の内部構造は、一体どのようにして誕生したのでしょうか。その進化のミッシングリンクを解き明かしたのが、米国の生物学者リン・マーグリスが提唱し、現代生物学の定説となった「細胞内共生説」です。
かつて地球上に酸素がほとんど存在しなかった原初の世界から、光合成生物の登場によって大気中に猛毒の酸素が充満し始めた時代。古代の大型嫌気性古細菌(宿主)の中に、酸素呼吸によって効率的にエネルギー(ATP)を生成できる「好気性細菌」が取り込まれ、消化されずにそのまま共生関係を結んだものが「ミトコンドリアの起源」です。同様に、光合成を行う原核生物である「シアノバクテリア」が共生したものが、植物細胞の持つ「葉緑体の起源」となりました。
この細胞内共生説には、反論の余地がない強力な客観的証拠がいくつも残されています。
第一に、ミトコンドリアと葉緑体は「独自の環状DNA」を今なお自身の内部に保持している点です。核の指示を待たずに自前で遺伝子を持ち、自律的に分裂・増殖します。第二に、それらの内部に存在するリボソームが真核生物の80Sではなく、細菌と同じ「70Sリボソーム」である点です。第三に、これらの小器官を包む膜が「二重膜」になっており、内側の膜は原核生物特有の脂質組成を持ち、外側の膜は飲み込んだ宿主の細胞膜に酷似している点です。
深海熱水噴出孔周辺で採取された「アスガルド古細菌(ロキアーキオータなど)」のゲノム解析が進み、真核生物の共通祖先が古細菌の近縁種であることが確固たる事実として裏付けられました。我々の細胞の中にうごめくミトコンドリアは、20億年前の細菌の遠い子孫そのものなのです。