精密基板屋がなぜ生キャラメル?郡山・向山製作所が起こした大逆転劇

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話は2000年代後半にさかのぼる。当時の株式会社向山製作所は、精密な回路基板の表面実装を請け負う典型的な電子部品製造業であった。顧客からの厳しいコスト削減要請と生産拠点の海外シフト。経営陣の頭を悩ませ続けていた構造的課題が、世界的な景気後退によって一気に破綻寸前まで追い込まれた。「このまま待っていても仲間を守ることはできない」。織田金復氏が選んだのは、従来の製造業の常識を根底から覆すまったく未知の領域への挑戦だった。

社内での反対意見は当然根強かった。ハンダ付けを行っていた手で、なぜキャラメルを練らなければならないのか。しかし現場の情熱は折れなかった。畑違いのフードビジネスへ参入し、自社ブランドを立ち上げる。こうして始まった洋菓子製造・カフェ経営業への事業転換は、社内の空気を少しずつ、しかし確実に変えていった。電子基板のハンダ付けで培った0.1ミリ単位の集中力と品質管理の厳しさは、期せずして繊細な温調が求められる製菓プロセスにおいて最強の武器となったのである。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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