「自虐史観」とは何か?歴史認識の対立と教科書問題の真の深層
「自虐史観」とは何か?歴史認識の対立と教科書問題の真の深層について押さえておきたい 理由を厳選して解説いたします。
論壇で巻き起こった運動は、やがて巨大な政治思想運動へと波及していく。その組織的な中核となったのが、1997年に設立された草の根保守団体「日本会議」である。政界や財界、宗教界の保守層を横断的に組織化した同会は、改憲運動や伝統的家族観の擁護と並び、「自虐史観の払拭」を運動の最重要柱の一つに掲げた。地方議会での意見書採択運動や教科書採択への働きかけなど、政治の現場にダイレクトに影響を与えるアプローチを展開したのである。
同時に、この歴史論争を拡大・定着させたエンジンとして見逃せないのが出版業界の動向だ。90年代後半から2000年代にかけて、新潮社や文藝春秋、扶桑社などの大手・中堅出版社から、自虐史観を批判する書籍や月刊論壇誌が相次いで刊行され、ベストセラーを連発した。活字メディアを通じて一般読者層へと浸透したこれらの言説は、単なる専門家の議論を超え、日本社会の「常識」や「空気」を塗り替える強力なメディア・エフェクトを発揮したのだった。