『沈黙の春』が暴いたDdtの猛威と鳥が消えた真相【名著の警告】

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ネット上の言説や一部の極端な言説において、「カーソンの告発によってDDTが禁止されたせいで、途上国でマラリアが蔓延し数百万人が死亡した」という批判が散見されます。いわゆる「カーソン=マラリア虐殺者説」ですが、これは事実関係を意図的に歪曲した明白な誤認です。

第一に、カーソン自身は『沈黙の春』の中で、病気媒介蚊の緊急防除など公衆衛生目的における限定的な化学薬品の使用まで全面的に否定したわけではありません。彼女が断罪したのは、広大な農地や森林に対する「無差別かつ予防的な大量空中散布」でした。

第二に、DDTの空中散布を継続した地域では、標的である蚊が急速に薬剤耐性を獲得し、散布を続けてもマラリア媒介蚊を駆除できなくなっていました。耐性昆虫の出現という進化生物学的リスクを警告したのもカーソンです。

第三に、2001年のストックホルム条約(POPs条約)においても、マラリア対策としての公衆衛生用途に限りDDTの限定的使用は現在も例外的に認められています。カーソンをスケープゴートにする批判は、化学農薬の無計画な乱用が生んだ耐性問題という根本原因から目をそらすための偏った言説に過ぎません。

松本 悠斗

松本 悠斗

サステナビリティ研究家

マネー知識やキャリア形成に役立つノウハウを、初心者にも分かりやすく解説するのが得意です。

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