もし二・二六事件が成功していたら?解禁資料が明かす昭和史の幻
もし二・二六事件が成功していたら?解禁資料が明かす昭和史の幻についての疑問解決ガイドを徹底解説します。
もし青年将校たちが政権を奪取していた場合、国政の舵を取ったのは間違いなく大日本帝国陸軍の「皇道派」であった。彼らの思想的バックボーンとなったのが、思想家・北一輝である。北一輝が掲げた『日本改造法案大綱』の理念に基づき、私有財産の制限や華族制度の廃止、財閥解体など、国家社会主義的な急進的改革が推し進められた可能性が高い。
さらに、対外防衛構想も劇的に変化していたはずだ。のちに台頭する統制派が主導した「南進論」(東南アジア・太平洋方面への進出)に対し、皇道派の戦略構想は一貫してソ連を最大の仮想敵とみなす「北進論」に傾倒していた。仮に皇道派政権が確立されていれば、英米との全面対決である太平洋戦争は回避されていたかもしれない。だが、それは平和を意味しない。満州国を舞台としたソ連との大規模な軍事衝突へ傾斜し、ユーラシア大陸で長年の泥沼戦に引きずり込まれていた危険性はきわめて高かったといえる。