八坂の門前に潜む歴史の深淵!二軒茶屋が魅せる伝統と革新の真相

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「二軒茶屋」の名を聞いて、京都の東山を思い浮かべるか、それとも伊勢の川湊を思い浮かべるか。実はこの名を持つ名門は、日本の東西交通と信仰の要所にそれぞれ確固たる根を張っている。

京都におけるそれは、八坂神社の南楼門内に位置する二軒茶屋中村楼だ。かつて鳥居の脇に「柏屋(のちの藤屋)」と「中村屋」が向かい合って建ち並び、名物の豆腐田楽を競い合って提供したことからその名が定着した。室町期の創業から数えて四百数十年。公家や武士、文人墨客が集い、茶の湯と料理の雅を研ぎ澄ませてきた場所である。

一方、伊勢神宮への舟参宮の拠点として栄えた勢田川の河畔には、天正三年(1575年)創業の有限会社二軒茶屋餅角屋本店が佇む。川を上ってきた参拝客が船を降りて最初に足を休めたのが角屋と湊屋の二軒であった。名物のきな粉餅で旅人の疲労を拭い去った角屋は、今日では伝統を守りつつ世界的なクラフトビール醸造の旗手としても知られる。東西の二軒茶屋は、街道と水運という異なる大動脈にありながら、信仰者をもてなす精神を純粋培養してきた双璧なのだ。

橋本 菜々子

橋本 菜々子

トレンドリサーチャー

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

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