天然痘とは?数億人の命を奪った歴史とエムポックスの違いを徹底解説
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「根絶された」とされる天然痘ウイルスですが、地球上から完全に物質として消滅したわけではありません。厳格な国際監視のもと、研究目的で少量の生きたウイルス株が残されています。
国際的に公認された2箇所のウイルス保管場所
WHOの厳密な合意と管理のもと、公式に天然痘ウイルスの生株を保管している施設は世界に2箇所のみ存在します。
- 米国疾病予防管理センター(CDC):米国ジョージア州アトランタ
- ロシア国立ウイルス学・生物工学研究センター(VECTOR):ロシア連邦ノボシビルスク州コルツォボ
これらの施設では、最高レベルのバイオセーフティ基準であるBSL-4(バイオセーフティレベル4)の隔離設備環境で厳格に管理されています。WHOの専門委員会では定期的に「残存ウイルス株の完全廃棄」が議論されていますが、将来的な再興リスクへの対抗薬開発や診断技術維持を理由に、現在も廃棄の判断は先送りされています。
現代社会が直面する潜在的リスク
現代において懸念されているのが、冷戦期に製造された生物兵器用ストックの未申告流出リスクや、合成生物学の発展に伴う人工的なウイルスの復元可能性です。
日本国内では1976年(昭和51年)を最後に天然痘ワクチンの定期接種が中止されているため、およそ50歳未満の世代は天然痘に対する免疫を一切持っていません。また、過去に接種を受けた高齢世代であっても、数十年の経過により獲得免疫抗体価が著しく減衰していると指摘されています。
万一の生物兵器テロや流出事案に備え、日本政府は国産の第3世代天然痘ワクチン「LC16m8」を国家備蓄しています。このワクチンは副反応が極めて少なく、現代の治験においても高い安全性が実証されており、エムポックス感染予防の緊急適用薬としても国際的に注目されています。