大人の溶連菌発疹を見逃すな!蕁麻疹との違いと重症化の危険サイン
大人の溶連菌発疹を見逃すな!蕁麻疹との違いと重症化の危険サインの要点を丁寧に掘り下げてご紹介します。
成人における溶連菌感染症は、典型的な小児の症候とは異なる現れ方をすることが臨床調査で分かっています。感染初期の主症状は、唾液を飲み込むことすら困難なほどの急激な咽頭痛です。扁桃には点状の白い膿栓(白苔)が付着し、頸部リンパ節がコリコリと大きく腫れ上がります。この咽頭症状に続いて現れるのが、全身を覆う鮮紅色の皮膚変化です。
臨床現場で記録される典型像として、発疹はまず首筋、鎖骨周辺、脇の下、鼠径部(そけいぶ)といった皮膚の柔らかいシワの部分から発生します。見た目は日焼けした肌の上に針先大の赤い点々が無数に散らばったような状態を呈し、手で触れると「鳥肌」あるいは「細かなサンドペーパー(紙やすり)」を撫でているような明らかなザラつきを覚えます。さらに、肘の内側や脇の下などの皮膚の折り目部分に線状の濃い赤みが走る「パスティア線(Pastia's sign)」が観察されるのも診断上の大きな手がかりです。顔面も紅潮しますが、口の周囲だけが不自然に白く抜ける「口囲蒼白(こういそうはく)」を示すケースも成人の観察記録に多く見られます。
舌の変化も絶対に見逃せない客観的兆候です。感染初期の1〜2日目は舌全体が分厚い白苔で覆われますが(白色いちご舌)、発症から3〜4日目を迎えると白苔が急速に剥がれ落ち、鮮やかな赤色の舌乳頭がブツブツと隆起した「いちご舌」へと移行します。鏡で口腔内を確認した際、イチゴの表面のように赤く粒立った突起が確認できる場合、溶連菌の産生する菌体外毒素が全身に作用している証拠といえます。
皮膚のかゆみに関しては、蕁麻疹のような耐え難い猛烈な掻痒感というよりも、皮膚が突っ張るような熱感やチクチクとした軽いかゆみを訴える患者が大多数を占めます。「かゆくてたまらないから蕁麻疹だ」と思い込んでいると、溶連菌特有の皮膚炎症を見落とす落とし穴に嵌まりかねません。