カツオ一本釣りの仕組みとは?針にかえしが無い理由と驚きの現場真相

カツオ一本釣りの仕組みとは?針にかえしが無い理由と驚きの現場真相について知っておくべき 事実を分かりやすい構成で解説いたします。

カツオ一本釣りの最大の謎とも言えるのが、「なぜ針にかえし(バーブ)がないのに魚がバレない(逃げない)のか」という点です。釣り針のかえしは、本来魚が暴れた際に針が抜けるのを防ぐための機構ですが、一本釣りの現場ではあえてかえしのない「スレ針(無返針)」が徹底して使用されます。

この仕組みを成立させている第一の要素が、「テンションの維持と放物線の制御」です。漁師はカツオが食いついた瞬間に強烈なアワセ(竿を立てる動作)を入れ、魚の重みと引きの力を利用して一気に後方へ跳ね上げます。水面から甲板上空へ弧を描いて飛んでいる間、釣り糸には常に強烈なテンション(張力)がかかり続けているため、かえしがなくても針が外れる隙が物理的に生じません。

そして第二の要素が、「空中での自動リリース技術」です。カツオが釣り師の頭上を越えて背後の甲板に到達する直前、漁師は竿の力を一瞬だけふっと抜きます。するとテンションがゼロになり、針自身の重さと角度によってカツオの口から「スポン」と自然に針が外れます。針を外された魚体だけが慣性でそのまま甲板のスロープへと滑り落ち、漁師は手で針を外すタイムロスを一切発生させることなく、即座に次の仕掛けを海面へと打ち込めるのです。

「手で魚を掴んで針を外す」という工程を挟めば、どんなに早くても1匹に10秒前後は要します。しかしスレ針を用いた一本釣りなら、1匹を釣り上げてから次の投入までわずか2〜3秒。群れが船の周りに留まっているわずか10分から数十分の勝負時間において、この手返しの速さが漁獲効率を数十倍に跳ね上げます。

さらに、「なぜ疑似餌だとバレないのか」という疑問の裏には、カツオの生態心理を利用した巧妙な罠が存在します。後述する散水と活餌によってカツオは興奮状態に陥っており、視野に入る動く物体に対して反射的・無差別に口を使う「リアクションバイト(条件反射の捕食行動)」を起こしています。一本釣りで使われる疑似餌は、鳥の羽や魚皮、ビニールなどを鉛の針に巻き付けた「バケ」と呼ばれる伝統的なものですが、猛スピードで引かれる銀色の輝きは、狂乱状態のカツオの目には逃げ惑う小魚そのものに映っているのです。

山崎 陸

山崎 陸

ガジェット&アプライアンスライター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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