日本を震撼させた凶悪実話の真相|映画の元ネタと未解決事件の深層
日本を震撼させた凶悪実話の真相|映画の元ネタと未解決事件の深層に関する深掘り解説を丁寧に解説いたします。
日本映画史において屈指の緊迫感を放つ作品として知られる映画『凶悪』(2013年公開、白石和彌監督)。山田孝之演じる雑誌記者が、ピエール瀧演じる死刑囚の告発を手がかりに、リリー・フランキー演じる凶悪な黒幕を追い詰めていくプロットは、観客に強烈なトラウマを植え付けました。しかし、この作品の最も恐ろしい点は、描かれたエピソードのほぼすべてが実際に起きた上申書殺人事件という実録ノンフィクション事件に基づいているという事実です。
事件の発端は1999年11月から2000年8月にかけて発生した、茨城県を中心とする複数の殺人・死体遺棄でした。別の殺人事件で死刑判決が確定していた元暴力団組長・後藤良次死刑囚が、月刊誌『新潮45』の編集部宛てに届いた手紙を通じて、「自分にはまだ警察が把握していない余罪があり、それを指示した真の首謀者が娑婆(しゃば)で平然と暮らしている」と告発したのです。
後藤死刑囚が提出した「上申書」に記されていた首謀者こそ、地元で不動産ブローカーとして活動し、関係者から「先生」と呼ばれていた男・三上静男でした。告発された主な事件は以下の3件にのぼります。
- 日立市資産家男性失踪事件:土地売却トラブルに乗じ、睡眠薬を飲ませて殺害。遺体を山中に遺棄したとされる事件。
- 石岡市焼酎中毒死事件:病気を患っていた男性に高濃度のアルコールを過剰摂取させ、病死に見せかけて生命保険金を詐取・殺害した事件。
- 北茨城市会社社長絞殺事件:借金返済を免れるため、男性を車内でロープを用いて絞殺し、遺体をコンクリート詰めにして処分した事件。
当時の警察は、これらの事案を単なる「失踪」や「病死(急性アルコール中毒)」として処理しており、殺人事件として捜査すらしていませんでした。もし雑誌記者による粘り強い現場裏付け取材と、後藤死刑囚による検察への直接上申がなければ、完全犯罪として永遠に闇に葬られていた可能性が極めて高い事件です。司法の盲点を突き、法網をかいくぐりながら巨額の利益を貪っていた「先生」の狡猾さは、まさに背筋が凍る戦慄の事件簿の筆頭格といえます。