なぜ麦の花は見たことがないのか?開花時期や花言葉の真相に迫る
なぜ麦の花は見たことがないのか?開花時期や花言葉の真相に迫るの真相について、最新情報を詳しくお届けします。
春先から初夏にかけて麦畑の周辺を散策する際、ネット上でしばしば見られるのが「麦の花粉を吸い込んで重い花粉症になるのではないか」「麦畑の近くに行くとアレルギーが悪化する」という懸念の声です。しかし、この不安には植物学的な事実誤認が含まれています。
アレルギー性鼻炎を引き起こす原因物質の多くは、スギやヒノキ、そして野生のイネ科雑草(カモガヤやオオアワガエリ)のように、風に乗って遠くまで大量の花粉を撒き散らす「風媒花(ふうばいか)」の花粉です。一方、前述の通り小麦や大麦は極めて閉鎖的な自花受粉植物であり、花粉を大気中に飛散させる必要がありません。
農業現場の空気測定やアレルギー専門機関の研究知見によれば、麦の花粉粒子は比較的重く粘り気があり、殻からこぼれ落ちても地表へ直接落下するか、ごく近距離にしか漂いません。したがって、麦の花粉自体が広範囲に飛散して地域的な花粉症を引き起こすリスクは極めて低いとされています。
では、なぜ麦畑の近くで目のかゆみやくしゃみを訴える人が後を絶たないのでしょうか。その主因は、麦畑のあぜ道や用水路沿いに群生している「野生のカモガヤやネズミムギ」です。これらの雑草は風媒花であり、麦の開花期と完全に重なる5月前後に大量の花粉を空気中に放出します。一般の観察者が雑草の花粉と麦の花を取り違えて記憶してしまっているケースが大半である点には注意が必要です。