「馬」の書き順は変わった?昔と違うと勘違いする真相と正しい筆順

「馬」の書き順は変わった?昔と違うと勘違いする真相と正しい筆順の真相について、最新情報を取りまとめてご紹介します。

公的な基準が変わっていないにもかかわらず、なぜ「馬 書き順 昔と今」で筆順が激変したと感じる大人が後を絶たないのでしょうか。取材と教育史の検証を進めると、日本人の漢字文化に根ざした3つの構造的理由が浮かび上がってきました。

1. 書道文化・行書で用いられる「伝統的な筆順」の混同

第一の理由は、毛筆や書道で親しまれてきた「行書(ぎょうしょ)」の書き順との混同です。漢字の歴史において、楷書よりも先行して定着した行書や草書では、筆脈(筆の流れる勢い)を滑らかにするため、上の横画から入って縦画へ流れる筆順が頻繁に用いられてきました。王羲之をはじめとする中国の古典名筆や日本の伝統書道でも、横画から書き始めるパターンは王道の崩し方として定着しています。幼少期に書道教室へ通っていた方や、看板・毛筆の手本を見慣れている人ほど、この「横から入る美しい筆順」が無意識の記憶として刷り込まれているのです。

2. 昭和33年以前の教育現場における地域差と口伝

第二の理由は、昭和初期から戦前にかけての教育事情です。『筆順指導の手びき』が出される1958年以前の小学校教育では、漢字の筆順に関する全国一元的な指導基準が存在しませんでした。師範学校の教員ごとに教え方が異なったり、地域ごとの教科書で異なる順序が示されたりしていた実態があります。家庭内で祖父母や親から漢字の書き方を教わった際、手引き制定前の古い筆順や民間での書き癖が口伝で伝わり、「小学校でそう教わった」と記憶が変容してしまった例も少なくありません。

3. 「鳥」や「島」など類似漢字との視覚的錯覚

第三の理由は、視覚的な形状が似ている鳥類関連の漢字との混同です。「馬」と形が酷似している「鳥」や「島」は、1画目が「左上の短い斜め払い」、2画目が「左側の縦画」、3画目が「上の横折れ」という構成を取ります。「馬」を書く際にも、脳内で「鳥」の筆勢に引きずられ、最上段の横画から書き進めるのが自然だと錯覚してしまう認知のズレが生じるのです。

吉田 誠

吉田 誠

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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