突然顎が外れた時の正しい直し方!自力で戻すリスクと救急対応法
突然顎が外れた時の正しい直し方!自力で戻すリスクと救急対応法にまつわる役立つ知識を分かりやすく発信ます。
口を大きく開けた瞬間に顎がカクンと外れ、上下の歯が一切噛み合わなくなる現象の正式な病名は「顎関節脱臼(がくかんせつだっきゅう)」です。人間の耳の穴のすぐ前方には、側頭骨のくぼみ(下顎窩)と下顎の骨の先端(下顎頭)が組み合わさった顎関節が存在します。正常な開口時でも下顎頭は骨の出っ張り(関節結節)をわずかに前方に乗り越えますが、口を閉じるときには周囲の筋肉や靭帯の作用で自然と元のくぼみへ滑り戻ります。
ところが、生理的な限界を超えて大きく口を開いた際、下顎頭が関節結節を完全に前方に乗り越え、そのまま筋肉の急激な緊張によってロックされて元の位置に戻れなくなる事態が発生します。これが最も頻度の高い「前方脱臼」の正体です。臨床の現場では、患者の実に90%以上がこの前方脱臼に該当します。
顎が外れる原因と理由として最も代表的な引き金は、無防備な状態での大あくびです。そのほか、大笑い、嘔吐時の強烈な腹圧と開口、歯科治療で長時間にわたり大きく口を開け続けた後、さらには硬い食べ物を大きく口を開けて無理にかじり取ろうとした瞬間に頻発します。また、加齢に伴い関節を取り囲む関節包や靭帯が緩んでいる高齢者や、もともと関節が浅い骨格を持つ女性は、わずかな衝撃でも容易に脱臼を起こしやすい傾向があります。
多くの人が混同しがちなのが「顎関節症」との違いです。顎関節症は、口を開閉する際に顎関節がカクカク鳴る(クリック音)、顎周辺が痛む、あるいは口が指2本分程度しか開かなくなる(開口障害)といった症状を指します。対照的に、顎関節脱臼は「口が大きく開いたまま完全に閉じられなくなる」点が決定的な違いです。外見上も下顎が前方に突き出てしゃくれたようになり、唾液を飲み込む嚥下運動ができなくなるため、口からだらだらとよだれが垂れ流しの状態に陥ります。