揺さぶられっ子症候群の真実|危険な強さと初期症状・後遺症リスク

揺さぶられっ子症候群の真実|危険な強さと初期症状・後遺症リスクの見逃せないポイントを一挙に解説しました。

取材の現場で浮かび上がるのは、決して悪意を持った「冷酷な加害者」の姿だけではありません。むしろ、真面目で責任感が強く、一人で完璧な育児をやり遂げようと追い詰められた保護者が、密室のなかで衝動的に起こしてしまう痛ましい事例が数多く存在します。

ある母親は、手記のなかで当時の極限状態を次のように吐露しています。

「夜中の3時、ミルクをあげても、オムツを替えても、抱っこしても何をしても火がついたように泣き叫び続ける。睡眠不足が数週間続き、頭の中で耳鳴りが鳴り止まなかった。『どうして私を困らせるの?』とパニックになり、気づいたら赤ちゃんの肩を掴んで前後に強く揺さぶっていた。ハッと我に返った瞬間の恐怖と手の震えは、今でも忘れられません」

厚生労働省の虐待死事例検証データを見ても、AHTが発生する引き金の第1位は「赤ちゃんの激しい泣き(泣きやまないこと)」です。乳児期には、病気や空腹などの理由が一切なくとも激しく泣き続ける「パープル・クライング(PURPLE Crying)」と呼ばれる発達段階が存在します。これは生後2週間頃から始まり、生後6週前後でピークを迎え、生後3〜4か月頃に自然と落ち着いていく生理現象です。

しかし、核家族化が進み、地域の見守りや親族の支援から切り離されたワンオペ育児の現場では、「泣きやまない=自分の子育ての失敗」「親失格」という認知の歪みが生じやすくなります。慢性的な睡眠剥奪によって脳の判断能力が著しく低下している状態では、誰しもが感情のコントロールを失うリスクを孕んでいます。家庭内における孤立と育児負担の偏りこそが、AHTを引き起こす最大の構造的要因です。

中島 亮太

中島 亮太

写真家・フォトエディター

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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