太平洋と大西洋の境目は混ざらない?海の色が分かれる真相と境界線の科学
太平洋と大西洋の境目は混ざらない?海の色が分かれる真相と境界線の科学とは一体何なのか? 背景や要点を整理してお届けします。
YouTubeやTikTok、X(旧Twitter)などで数千万回以上再生されてきた「太平洋と大西洋の境界線」とされる映像。青の濃淡が極端に分かれた水面が泡立ちながら並走する光景は、一見すると大洋同士の衝突を捉えた世紀のスクープ映像のように見えます。
しかし、この動画の撮影地は南米の境界海域ではなく、北米のアラスカ湾沖合です。2007年にカリフォルニア大学サンタクルーズ校の海洋科学者ケネス・ブルランド教授らの研究航海中に撮影された写真や、クルーズ客船の乗客が撮影したアラスカ湾の映像が、いつの間にかキャプションを改変されて「太平洋と大西洋の境目」というデマとして世界中に拡散したのが真相です。
当時、現場調査を行ったブルランド教授は公式の取材に対し、「氷河が削り取った微細な鉱物粒子(氷河粉子・グレイシャー・フラワー)や鉄分を豊富に含んだ淡水の河川水が海に流れ込み、重く塩分の濃い外洋水と衝突した際に形成される水塊フロント(潮目)である」と明言しています。泥水を含んだ比重の軽い淡水と、塩分濃度の高い深海の水がぶつかる界面では、一時的に混ざり合う速度よりも流入する速度が勝るため、肉眼で明確に識別できる境界線が生まれます。つまり、「大洋の境目」ではなく「巨大な河川・氷河融解水と海洋の接触面」だったのです。