イヌマキの剪定で枯れる原因とは?失敗しない時期とプロ直伝の技法
イヌマキの剪定で枯れる原因とは?失敗しない時期とプロ直伝の技法に関する知りたいポイントをわかりやすくまとめました。要点を確実におさえることができます。
イヌマキはその仕立て方によって求められる刃の入れ方が根本から異なります。境界を守る遮蔽壁としての生垣と、日本庭園の主木に用いられる段作り(玉散らし)では、アプローチする力点が対極に位置します。代表的なマキの木の剪定方法を、樹形ごとに徹底整理します。
イヌマキ生垣の刈り込み|光を逃さない台形仕立てと剪定バリカンの使い方
境界を彩るイヌマキ生垣の刈り込みでは、平面を美しく均一に揃える技術とともに、下葉の枯れ上がりを防ぐ構造設計が求められます。刈り込みの基本形状は、側面を垂直に落とすのではなく、上部をやや狭く、下部を広くする「台形(末広がり)」に仕上げることです。垂直や下すぼまりに刈ると、上部の密生した葉が太陽光を完全に遮断し、生垣の下段や内部に光が届かなくなります。その結果、数年後には下葉がすべて脱落し、枝だけのスカスカな生垣に荒廃してしまいます。
現代のガーデニング現場で手放せない剪定バリカンの使い方にも明確なコツがあります。電動・充電式トリマーを使用する際は、下記の動作原則を順守してください。
- 刃の並行移動:生垣の表面に対してブレードの底面をピタッと沿わせ、小刻みに動かさず下から上へと一定の速度で滑らせるように切断する。
- 高回転・低摩擦の意識:エンジンの回転数が落ちた状態で無理に枝へ押し付けると、枝組織を剪断(引きちぎり)してしまい、切り口の壊死や葉枯れの原因になる。
- 刃の鋭利度と清掃:マキの木特有の粘り気のあるヤニ汁(樹脂)はブレードに蓄積し、切れ味を急激に落とす。作業中も30分おきにヤニ取りスプレーを塗布し、刃の熱膨張を防ぐ。
段作り仕立てのコツ|玉の扁平化と輪郭線のキープ
庭木の格式を示す段作り仕立てのコツは、「各段の玉(雲)の輪郭を平たい円盤状に整えること」と「段同士の間隔(間歇空間)を明確に空けること」に集約されます。玉の上面を丸く膨らませすぎると、下層の玉に影を落とし、階下の枝を衰弱させてしまいます。各層の上面は水平に抑え、側面から底面にかけてなだらかなアールを描くように刈り込み鋏で輪郭をなぞります。
段作りにおいて最も警戒すべきは、中心部から空へ向かって垂直に勢いよく突き出る「立ち枝(徒長枝)」です。これらを放置すると養分が上方向へ偏って吸い上げられ、水平方向の枝が痩せ細ってしまいます。輪郭線から飛び出した太い枝は、刈り込み鋏で表面だけを切るのではなく、玉の内側にハサミを深く差し込み、枝の分かれ目元から剪定鋏で間引き落とす作業が不可欠です。
病害虫を防ぎ寿命を延ばす「透かし剪定のやり方」
表面を綺麗に刈り揃えるだけでは、イヌマキの健康を長期にわたって保つことはできません。外側の緑が緻密になるほど、内部は日光が一切届かない暗黒密室と化し、枯れ枝やホコリ、湿気が充満します。これらを排除するのが透かし剪定のやり方です。
透かし剪定は通常、秋(9月下旬〜10月)に実施します。まずは内部に溜まった茶色い枯葉を手袋をした手で優しく払落とす「葉落とし」を行います。その上で、以下の不要枝を枝元から除去していきます。
- 逆さ枝・内向枝:幹の内側方向へ向かって逆行して伸びている枝
- 交差枝:他の主枝と交差し、風によって擦れ合って傷をつける枝
- 平行枝・車輪枝:同じ箇所から同方向へ何本も車輪状に密集して吹き出している余分な枝
外部から見下ろした際に、葉叢の隙間から木漏れ日が地面にちらちらと届く程度(透かし率約20〜30%)まで間引くことで、内部の芽吹きが促され、太い骨格から新しい元気な枝が世代交代できるようになります。