ワイングラスの持ち方は脚が正解?日本特有の噂と国際マナーの真相
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「海外の映画やセレブのパーティーを見ると、みんなワイングラスの丸い部分(ボウル)を鷲掴みにしている。脚を持っているのはマナーにうるさい日本人だけだ」――こうした言説がネット上で定期的にバズを起こし、多くのワイン愛好家を惑わせてきました。しかし、この主張は海外と日本のワインマナー決定的な違いを文脈なしに切り取った極論に過ぎません。
歴史的な国際儀礼(プロトコール)の基準を紐解くと、実は「ワイングラスの持ち方に唯一絶対の国際法規はない」というのが厳然たる事実です。欧米の王室晩餐会や公式レセプションを長年取材してきた儀礼関係者によると、欧米の社交界においてボウルを持つ人が散見される最大の理由は「リラックスした場での安定性の確保」です。立食形式のカクテルパーティーで何時間も歓談する際、重心が高く倒れやすいステムを指先だけで支え続けるのは疲労を伴います。そのため、自然とボウルの下部を包むように持つスタイルが生活習慣として容認されてきました。
一方で、日本のレストランシーンにおいて「ステムを持つのが鉄則」として広まった背景には、日本ソムリエ協会(J.S.A.)をはじめとするテイスティング技術の普及があります。日本に本格的なワイン文化が定着した1980〜1990年代以降、ソムリエがワインの外観(色調や清澄度)を確認し、手の温度を伝えないためにステムを持つ姿が「スマートで美しい正解」として一般に刷り込まれました。つまり、日本人が特別に神経質なのではなく、ワイングラス持ち方国際マナーが「社交の快適さ」を優先したのに対し、日本は「ワインを最上の状態で味わう機能美」をマナーの土台に据えたという文脈の差異が存在するのです。