突然顎が外れたら?自力整復の危険性と口が閉じない緊急時の正しい治し方
突然顎が外れたら?自力整復の危険性と口が閉じない緊急時の正しい治し方とはどのようなものなのか? 主要なファクトを簡潔に解説します。
顎が外れて口が閉じなくなった際、人間は本能的に「手で下顎を上に押し上げて無理やり口を閉じよう」としてしまいます。しかし、これは最も避けるべき危険な初動です。顎関節が脱臼している状態とは、下顎の骨の先端(下顎頭)が側頭骨のくぼみ(関節窩)から前方に大きく飛び出し、手前にある「関節結節」という骨の出っ張りを乗り越えてロックされてしまっている状態を指します。
骨同士が引っかかっている位置関係のまま真上に押し上げようと強い力を加えると、周囲の筋肉が防衛反射で激しく攣縮(けいれん)し、下顎頭と側頭骨が激しく衝突します。その結果、関節軟骨の摩耗や関節包の断裂、最悪のケースでは下顎枝の骨折を引き起こす臨床例が報告されています。
パニックを抑え、医療機関へたどり着くまでに取るべき決定的な応急処置は以下の3ステップです。
ステップ1:口を無理に閉じようとせず、半開きの位置で固定する
無理に顎を動かさず、力を抜いてリラックスを心がけます。フェイスタオルや三角巾を下顎の底にあて、頭頂部に向けて優しく結び、顎が重力で下がりすぎないよう軽く支持します。この際、上に向けて強く締め上げてはいけません。
ステップ2:唾液を飲み込もうとせず、ティッシュや容器に吐き出す
顎が外れると嚥下機能(飲み込む力)が著しく低下します。無理に唾液を飲み込もうとすると気管に入って激しいむせ込みや誤嚥性肺炎を誘発するため、ティッシュペーパーやタオル、紙コップを口元にあてて自然に流れ出る唾液を吐き出させます。
ステップ3:患部を冷やし、言葉を話さず筆談で意思疎通を図る
動揺して喋ろうとすると関節周囲の筋肉がさらに緊張します。筆談やスマートフォンのメモ機能を使い、痛みが強い場合は頬の関節付近を濡れタオル等で軽く冷やしながら、速やかに移動手段を確保してください。