国土地理院の地図記号総まとめ|新設&廃止の真相と最新一覧
国土地理院の地図記号総まとめ|新設&廃止の真相と最新一覧にまつわる役立つ知識を詳しく紐解きます。
地図は単なる地理空間の記録ではなく、その時代の産業や社会情勢を映し出す「鏡」です。国土地理院が規定する図式基準において、近年どのような記号が新設され、あるいは役目を終えて消えていったのか、その決定的な理由を取材データから紐解きます。
近年の新設で最も社会的反響を呼んだのが、2019年に制定された「自然災害伝承碑」の記号です。平成30年7月豪雨をはじめとする大規模災害を受け、過去の津波や土砂災害の教訓を記した石碑などの位置を「地理院地図」に掲載し、地域の防災力向上に直結させる目的で新設されました。公募を含めた検討を経て、石碑に文字が刻まれた形を模したシンボルが採用されています。
また、2006年には「老人ホーム」と「風車」が正式に追加されました。急速に進む少子高齢化によって福祉施設の重要性が増したこと、そして地球温暖化対策や再生可能エネルギーへの転換によって沿岸部や山間部に大型風力発電施設(風車)が急増したことが制定経緯となっています。さらにさかのぼる2002年には、生涯学習需要の高まりを背景に「博物館」や「図書館」の記号が一般公募によって誕生しました。
一方で、姿を消した記号の代表格が「桑畑」です。明治から昭和初期にかけて日本の輸出を支えた養蚕業の衰退に伴い、桑畑の面積は激減しました。国土地理院は1988年(昭和63年)の図式改定において桑畑記号の新規採用を原則停止し、その後の改定で「畑」への統合が進められました。同様に「製塩地」や「蚕室」なども役目を終え、歴史の遺産として地形図から姿を消しています。