東日本大震災の歌が紡ぐ15年の奇跡|「花は咲く」「群青」誕生秘話
東日本大震災の歌が紡ぐ15年の奇跡|「花は咲く」「群青」誕生秘話の注目ポイントを丁寧に掘り下げてご紹介します。
震災関連楽曲の歴史において、オルタナティブ・ロックバンドであるRADWIMPSの足跡は際立っている。野田洋次郎氏は、震災翌年の2012年3月11日に発表した「白日」を皮切りに、「ブリキ」「アイアンバイブル」「カイコ」「あいとわ」「春灯」と、ほぼ毎年3月11日にYouTube等を通じて新曲を無償配信し、収益を全額日本赤十字社等へ寄付してきた。
SNSやネット掲示板の書き込み、被災した若者たちの証言を検証すると、彼らが求めていたのはテレビで流れる「頑張ろう日本」という画一的なスローガンではなく、野田氏が紡ぐ「答えの出ない葛藤や無力感」への共感であった。「何をしていいか分からない」「それでも生きているのが申し訳ない」という、いわゆるサバイバーズ・ギルト(生き残ったことへの罪悪感)をありのままに受容する言葉が、多くの若年層被災者のメンタルを救ったのである。
2021年にこれらを総括したアルバム『2+0+2+1+3+1+1= 10 years 10 songs』がリリースされた際、福島県出身の20代男性は「3月11日が近づくと当時の恐怖がフラッシュバックしていたが、RADWIMPSの曲だけは耳を塞がずに聴くことができた。痛みを置き去りにせず、一緒に歩いてくれている感覚があった」と述懐している。3.11 追悼ソングが商業的な話題作りにとどまらず、個人の深い内省に接続し得た好例である。