深夜通販の伝説「レインボーアートデラックス」はなぜ消えた?販売終了の真相
深夜通販の伝説「レインボーアートデラックス」はなぜ消えた?販売終了の真相とはどんな影響があるのか? 専門的な分析を整理してお届けします。
深夜通販で爆発的な売上を記録しながら、なぜレインボーアートデラックスは短期間で市場から退場することになったのでしょうか。その背景には、インフォマーシャル特有の販売構造と、製品特性が抱えていた物理的な限界が存在していました。
第1の決定打となったのは、インクパッドの乾燥と劣化問題です。本製品は、複数の水性インクがあらかじめスポンジ状のブロックに充填されたトレイを採用していました。しかし、一度開封すると蓋を閉めていても経年劣化でインクが揮発し、数ヶ月放置するだけでカビの発生やスポンジの固化が避けられませんでした。ユーザーが「補充用のインクだけを追加購入したい」と考えても、輸入代理店側にとって単価の低いリフィルのみを継続供給する物流コストは採算が合わず、消耗品ビジネスとしての循環が早々に破綻してしまったのです。
そして第2の要因が、ネット上で今なお囁かれる「実はCMのように綺麗に描けない」というユーザー体験のギャップでした。テレビCMで驚異的なテクニックを披露していた外国人出演者は、全米のショッピングモールや展示会で数千回ものデモンストレーションを重ねてきたプロの実演販売士、ボブ・ワイズ(Bob Wise)氏です。彼の神業とも言えるブラシコントロール、計算し尽くされた筆圧、水分量の絶妙な調整があって初めて成立するパフォーマンスでした。
いざ一般家庭で小さな子どもが画用紙に向かうと、水を含ませすぎたブラシによってトレイ内の隣り合うインク同士が混ざり合い、鮮やかな虹色どころか「ドロドロの濁った茶褐色」へと変貌してしまうトラブルが多発しました。また、画用紙が水分で波打って破れたり、衣服や絨毯に落ちにくい顔料が付着して親が悲鳴を上げたりといった事態が相次ぎ、贈答用としての定着を阻む結果となったのです。