藤圭子「京都から博多まで」の衝撃|伝説の歌声と切ない名曲を徹底解剖
藤圭子「京都から博多まで」の衝撃|伝説の歌声と切ない名曲を徹底解剖を徹底追究! 読者が気になる 情報と解説を凝縮して配信します。
音楽ファンの間でしばしば熱い議論が交わされるのが、「京都から博多まで」の原曲とカバーの違いです。本作のオリジナルは、1972年1月に美声演歌歌手の扇ひろ子がシングルとしてリリースした楽曲でした。扇ひろ子版は、凛とした芯のある正統派演歌の節回しで、哀しみの中にも女性の気品や耐え忍ぶ強さが前面に出た端正な仕上がりとなっています。
これに対し、藤圭子がアルバム企画などで披露したカバーバージョンは、まったく異なる様相を見せます。彼女が歌声を吹き込んだ瞬間、端正な演歌は一転して「人間の業と孤独」を剥き出しにした濃密なブルースへと昇華されました。言葉の端々に漂う陰影、吐息混じりのしゃくり上げ、そして沈黙すらも雄弁に語らせる間(ま)の取り方は、藤圭子ならではの独壇場です。
藤圭子は生前、数々の昭和の名曲を取り上げたカバーアルバムを精力的に発表してきました。藤圭子のカバー曲一覧を振り返ると、美空ひばりや淡谷のり子、江利チエミらのスタンダードナンバーが並びますが、いずれの楽曲も単なる模倣に終わらず、完全に「圭子節」へと染め直されています。「京都から博多まで」においても、原曲への敬意を払いながら、自身の魂を削るような鬼気迫る表現で唯一無二の世界観を打ち立てました。