竹内まりや「ウイスキーがお好きでしょ」原曲の真相と名演の系譜
竹内まりや「ウイスキーがお好きでしょ」原曲の真相と名演の系譜の要点を詳しく解説してご紹介します。
ネット上のQ&AサイトやSNSで定期的に浮上するのが、竹内まりや「ウイスキーがお好きでしょ」の原曲をめぐる誤認です。CMの鮮烈な印象から「竹内まりやの書き下ろし新曲」と記憶しているリスナーも少なくありませんが、公式記録および音楽史における明確な事実として、本作は1991年に石川さゆりが「SAYURI」名義でリリースした楽曲のカバーです。
時計の針を1990年代初頭へと巻き戻してみましょう。当時、国内のウイスキー市場は長期的な低迷期に直面していました。重厚で敷居の高い「大人の嗜み」というイメージが固定化し、若年層の酒類離れが進むなか、サントリーは高級ウイスキー「クレスト12年」のプロモーションとして新たなアプローチを模索します。その際、演歌の枠組みを取り払い、スモーキーなバーカウンターが似合う極上のバラードを歌うミューズとして白羽の矢が立ったのが、当時すでに国民的歌手であった石川さゆりでした。
石川はコブシや演歌特有の情念を完全に封印し、ウィスパーボイスを交えた都会的なシンガー「SAYURI」へと変貌。その試みはCM界で絶賛され、隠れた名曲として愛好家の間で静かに語り継がれることになります。それから約20年後、歴史を大きく動かしたのが2000年代後半の「角ハイボール」大復活プロジェクトでした。かつての名曲を現代に蘇らせるリバイバル戦略の切り札として起用されたのが、他ならぬ竹内まりやだったのです。