原爆で人は本当に溶けるのか?人体蒸発の真相と人影の石の科学的真実

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原爆の熱線を象徴する遺物として世界的に知られているのが、広島平和記念資料館に保存・展示されている「人影の石(死の人影)」です。爆心地からわずか約260メートルの距離にあった旧住友銀行広島支店の玄関前石段に、人が腰掛けていたような黒い影が鮮明に残されていました。

この現象について、一部では「人間の肉体が熱で溶けて石段に染み付いた」「人体が焼き付いた跡だ」と誤認されることが少なくありません。しかし、物理学的・地学的な分析によって明らかになった真相は、全く逆のメカニズムです。

【人影の石が形成された科学的プロセス】
  1. 石段に使われていた「みかげ石(花崗岩)」は、主成分である石英や長石が強烈な熱線(3,000℃以上)を浴びることで鉱物表面が熱変性・剥離(熱線破砕)を起こし、白っぽく変色した。
  2. 当時、開店前の石段に座っていた人物が、照射された熱線を体全体で遮蔽した。
  3. 人物の背後にあった石段の表面だけが熱線の直撃を免れ、被爆前の黒っぽい石肌のまま保存された。
  4. 周囲の石が白く変色した結果、遮蔽されていた部分がコントラストによって「人型の黒い影」として浮かび上がった。

すなわち、人影の石は「人が焼き付いた」のではなく、「人体が熱線を遮った部分だけ、石が焼けずに元の色のまま残った」というマスキング(遮蔽)現象の産物です。

この階段に座っていたとされる人物は、銀行の開店を待っていた女性(当時42歳の越智シマさんとする説など)と推定されています。熱線を直撃したその人物は、その場で致命的な熱傷と放射線を浴び、直後に襲来した強風で吹き飛ばされたか、あるいはその後の火災に巻き込まれたと考えられています。

吉田 誠

吉田 誠

インテリア&ライフスタイルコーディネーター

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

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