Goの過去形はなぜWent?歴史の真相とGone・Beenの違い
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結論から言えば、現代英語の「went」は、もともと「go」の過去形ではありませんでした。中世の英語圏で使われていた別の動詞「wend(ウェンド:ゆっくり進む、向きを変えて行く)」の過去形を、goが丸ごと乗っ取ったというのが言語学上の真相です。
この現象は、言語学で「補充法(Suppletion)」と呼ばれます。補充法とは、ある単語の活用表に欠落や発音の不都合が生じた際、語源の全く異なる別の単語からパーツを借りてきて隙間を埋めるシステムを指します。
英語史の文献によると、古英語(5世紀〜11世紀頃)の時代、「行く」を意味する動詞は「gān(現代のgoの祖先)」であり、その過去形は「ēode(エオデ)」という全く別の語形が使われていました。この時点で既に補充法が働いていましたが、中英語期(11世紀〜15世紀)に入ると「ēode」は「yede」などの形骸化した発音へと変化し、発音の曖昧さから日常会話で急速に廃れていきました。
過去形を失いかけた「go」の前に現れたのが、当時日常的によく使われていた動詞「wenden」でした。「wenden」の過去形は「wente」であり、発音しやすく歯切れが良いという利点がありました。15世紀頃のイングランド社会において、人々は「go」の過去を表すために「wente」を日常的に代用し始め、やがて綴りが「went」に固定化され、正式な過去形として辞書に定着したのです。
「wend」という動詞自体は現代英語でも完全に消滅したわけではなく、「wend one's way(帰路につく、とぼとぼ歩く)」という文学的な表現の中にわずかにその名残を留めています。英語の歴史上、頻繁に使われる基本動詞ほど使い古されて形が崩れ、他動詞のパーツを融合させて生き残ってきたというダイナミズムがここにあります。