お知りになる」はNg?プロが教える正しい言い換え完全版
お知りになる」はNg?プロが教える正しい言い換え完全版について押さえておきたい 注意点を分かりやすい構成で解説いたします。
敬語の使い分けにおいて、教育現場でも頻繁に見落とされるのが尊敬語と謙譲語の混同です。特に「知る」の敬語体系において、ネット上の誤ったテンプレートを鵜呑みにしたことによる事故が後を絶ちません。
典型的な誤用が、「〇〇様は、先日の報道をすでに存じ上げていらっしゃいますか?」という表現です。言うまでもなく、「存ずる」「存じ上げる」は自分側の認知を低めることで相手に敬意を示す「謙譲語」です。主語が敬うべき相手(〇〇様)であるにもかかわらず、動作に謙譲語を当てはめる行為は、文法的に破綻しているばかりか、相手の尊厳を貶める重大なマナー違反(失敬)に当たります。
整理すると、使い分けの境界線は至ってシンプルです。
- 主語が「相手(取引先・上司)」の場合:尊敬語 = ご存じ(「ご存じですか」「ご存じのとおり」)
- 主語が「自分(私・弊社)」の場合:謙譲語 = 存じ上げる/存じている(「存じ上げております」「存じません」)
また、「人」を対象に知っていると言う場合は「存じ上げております」を用いますが、「事実や情報」を知っていると言う場合は「存じております」と使い分けるのが本来の格式です。「新製品の仕様については存じております」「開発責任者の鈴木様はよく存じ上げております」という切り分けができると、言語感覚の鋭さを相手に印象づけることができます。