自分の感情がわからない理由とは?失感情症のサインと心を救う処方箋
自分の感情がわからない理由とは?失感情症のサインと心を救う処方箋の詳細について、専門知識を基に徹底解説します。
SNSやオンラインコミュニティ、相談掲示板を調査すると、「何を食べたいかと聞かれても答えられない」「恋人と別れたのに悲しくない自分は異常なのか」といった痛切な投稿が日々投稿されています。筆者が取材した30代のIT企業勤務女性(Aさん)の手記には、感情を失っていった典型的なプロセスが克明に綴られていました。
「子どもの頃から家庭内で親の機嫌を常に伺っていました。怒鳴り声が響かないよう、親が望む『聞き分けの良い良い子』を演じることが生き残るルールだったんです。社会人になっても上司や同僚の顔色ばかり先回りし、自分の疲れや理不尽な怒りは全て飲み込んできました。ある朝、出勤前の駅のホームで突然足が動かなくなりました。でも、悲しいとも苦しいとも思えない。涙だけが流れているのに、頭の中は完全に無音でした」
Aさんのようなケースは、家族社会学や臨床心理学でアダルトチルドレン(AC)の感情抑制パターンとして広く認知されています。機能不全家族や過干渉な親のもとで育った子どもは、「自己の感情を表現すると安全が脅かされる」と学習します。その結果、他者の境界線(バウンダリー)に過剰に入り込み、相手の要求を満たすことだけに全神経を注ぐようになり、自身の本音を感じ取る感覚受容器を自ら切り落としてしまうのです。