過蓋咬合の矯正で後悔する理由とは?費用・期間と失敗防ぐ最新治療
過蓋咬合の矯正で後悔する理由とは?費用・期間と失敗防ぐ最新治療とはどんな影響があるのか? 背景や要点を整理してお届けします。
過蓋咬合の矯正治療を検討する際、多くの人が直面するのが費用と期間の壁です。結論から言えば、部分矯正(前歯だけの治療)で過蓋咬合の根本原因を解消することは不可能です。奥歯の高さや歯列全体の前後的・垂直的リバランスが必須となるため、治療は「全顎矯正(全体矯正)」が原則となります。
自由診療における過蓋咬合の全体的な費用相場は総額70万〜130万円のレンジに収まります。ここに毎回の通院調整料(約5,000円〜1万円)や、診断料・精密検査料(3万〜5万円)、アンカースクリュー埋入費用(1本あたり2万〜4万円)が加算されるのが一般的です。トータルフィー制(定額制)を導入しているクリニックか、処置ごとに費用が発生する方式かを確認しておくことが治療費の予算オーバーを防ぐポイントです。
治療期間の目安としては、通常のガタガタを並べる叢生治療が1.5年〜2年程度で収まるのに対し、過蓋咬合では2年〜3年(24〜36ヶ月)と半年から1年程度長くかかる傾向があります。歯を縦方向(骨の長軸方向)に沈めたり引き上げたりする移動は、横に動かすよりも骨代謝に大きな負荷がかかるため、生体に無理のない微弱な力を長期にわたって持続的にかける必要があるからです。
読者の関心が高い「保険適用」についてですが、大人の過蓋咬合矯正は原則として全額自己負担の自由診療です。ただし、以下の極めて限定的な3つの条件のいずれかを満たし、かつ厚生労働省が定める「指定医療機関(歯科矯正診断料算定指定医療機関)」で治療を受ける場合に限り、健康保険が適用されます。
その条件とは、①国が指定する先天性異常(口唇口蓋裂やダウン症候群など指定された疾患)に起因する咬合異常、②顎の骨自体の大きさや位置の異常によって咀嚼障害が生じている「顎変形症」と診断され、外科手術(顎離断手術)を併用して噛み合わせを直す場合、③前歯3歯以上の永久歯萌出不全に起因する咬合異常(埋伏歯開窓術を伴う場合)です。
「単に噛み合わせが深くて生活に困っている」という理由だけでは保険は使えません。しかし、保険適用外であっても、担当医から「咀嚼障害や噛み合わせ異常による機能回復のための医療目的」であると診断された場合は、国の税制上の医療費控除の対象となります。年間10万円を超えた治療費(通院交通費を含む)は確定申告により所得控除され、実質的な自己負担額を数万〜数十万円単位で軽減することが可能です。