もののけ姫の舞台は屋久島だけ?白神山地やタタラ場の真相を徹底検証

もののけ姫の舞台は屋久島だけ?白神山地やタタラ場の真相を徹底検証について詳しく解説いたします。専門家の見解をお届けします。

情報が氾濫するWeb空間において、『もののけ姫』の舞台をめぐってはいくつかの根強い誤解や盲点が存在します。編集部が事実確認を行った3つのポイントを是正します。

第一の誤解は、「屋久島の縄文杉がシシ神の木(巨大な古木)のモデルである」という説です。観光パンフレットのイメージ合成などから誤解されがちですが、縄文杉がある荒川登山口〜大株歩道ルートと、シシ神の森の原点となった白谷雲水峡はまったく異なる登山道に位置しています。映画の制作ドキュメンタリーを確認しても、スタッフが長時間を過ごして作画の拠点としたのは白谷雲水峡周辺の沢と森であり、縄文杉そのものを特定のモチーフとして描いたわけではありません。

第二の誤解は、「白神山地の核心地域にも自由にハイキング感覚で立ち入れる」という思い込みです。白神山地が世界自然遺産に登録された理由は、ブナを中心とした自然生態系が人為の影響を受けずに原生状態のまま保たれている点にあります。そのため、核心地域(約1万7,000ヘクタール)への立ち入りは自然環境保全法等に基づき厳格に制限されており、事前の森林管理署等への入山届出や高度なルートファインディング能力が求められます。観光や聖地巡礼として気軽に雰囲気を味わうのであれば、緩衝地域周辺に整備されている「十二湖(青池など)」や「暗門渓谷の遊歩道」、「白神山地ビジターセンター」周辺を訪れるのが鉄則です。

第三の盲点は、「エミシの里のモデルとされる特定の村が東北にそのまま残っている」という幻想です。先述の通り、アシタカの村は東北地方の縄文遺跡、蝦夷の砦跡、遠野の民俗資料館などの要素を宮崎監督が頭の中でパズルのように組み合わせた架空の集落です。「行けばあの形の村が存在する」と考えて現地を訪れると肩を落とすことになります。あくまで「東北の歴史的風土そのものがエミシの里の母胎である」と捉えるのが、大人の旅の正しい解釈です。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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