ピアノの鍵盤数はなぜ88鍵?白鍵黒鍵の内訳と失敗しない選び方を徹底解説
ピアノの鍵盤数はなぜ88鍵?白鍵黒鍵の内訳と失敗しない選び方を徹底解説に関する基本知識を徹底的にまとめました。詳細を読もうことができます。
音楽教室の講師やピアノ調律師への聞き取り取材、大手質問サイト(Yahoo!知恵袋やSNSコミュニティ)の投稿分析を行うと、楽器選びにおける最も根深い後悔のパターンがくっきりと浮かび上がります。それは「置き場所がないから、とりあえず安い61鍵キーボードを買ったが、半年も経たずに弾けない曲が出てきて買い替える羽目になった」という悲鳴です。
都内の大手音楽教室で20年近く指導にあたるピアノ講師は、次のように実情を打ち明けます。
「バイエルなどの導入テキストの前半であれば61鍵でも何とか音は足ります。しかし、ブルグミュラー25の練習曲に入ったり、ショパンやドビュッシーの憧れの曲に挑戦しようとした瞬間、鍵盤の端が物理的に存在せず、手が空を切ることになります。さらに深刻なのは、鍵盤数だけでなく『鍵盤タッチの軽さ』です。キーボードのペコペコした軽いバネ鍵盤で練習していると、指の筋肉や関節の支えが育たず、教室の本物のピアノを弾いたときに『指が重くて動かない』という大きな挫折を味わうことになります」
具体的に、多くの学習者が目標とする有名曲の中で、88鍵未満(61鍵キーボードなど)では原曲通りに演奏できない代表曲を整理しました。
- ベートーヴェン『エリーゼのために』:初級の登竜門でありながら、右手高音部のアルペジオで最高音「E6」を使用するため、鍵盤の割り振りとオクターブ設定によってはギリギリ対応できるか否かの境界線となり、低音の伴奏を重ねると破綻しやすい。
- ベートーヴェン『ピアノソナタ第14番「月光」第3楽章』:激しいアルペジオが低音から高音まで駆け巡るため、88鍵が必須。61鍵では物理的に音域が半分近く不足する。
- ドビュッシー『アラベスク第1番』『月の光』:繊細な分散和音が高音から超低音まで広がるため、76鍵でも音が足りなくなる小節が存在し、88鍵でなければ本来の響きを表現できない。
- ショパン『ノクターンOp.9-2』『幻想即興曲』『英雄ポロネーズ』:左手の跳躍するバス音(オクターブ低音)と右手の華麗な装飾高音の両端を極限まで使用するため、88鍵のフルサイズでなければ演奏不能。
- リスト『ラ・カンパネラ』:超絶技巧の代名詞。右手の高音跳躍(高音域の端から端まで)を駆使するため、88鍵が完全に揃っていなければ演奏不可能。
このように、「いずれ名曲を弾いてみたい」というわずかでも前向きな意欲があるならば、61鍵の選択は途中で必ず限界を迎えることになります。