万全を期すの意味とは?誤用で失礼になる落とし穴と正しい使い方

万全を期すの意味とは?誤用で失礼になる落とし穴と正しい使い方についての疑問解決ガイドを徹底解説します。

ビジネス文書の校正現場で頻繁に指摘されるのが、「万全を期す」と「万全を尽くす」の混同です。結論から述べると、「万全を尽くす」という表現は、伝統的な日本語の語法としては誤用、あるいは「万全を期す」と「最善を尽くす」が混ざり合った不自然な混交表現とみなされます。

この2つの言葉は、結びつく動詞の文法的な射程が異なります。「尽くす」という動詞は、「全力を尽くす」「最善を尽くす」のように、現時点で持っている力や手段を余すところなく出し切る行為そのものを指します。一方で「万全」は行為のプロセスではなく「欠点のない完全な状態」という結果・体制を指す名詞です。完全な状態そのものを「出し尽くす」ことは論理的に整合しないため、状態を目指して誓いを立てる「期す」と結びつくのが本来の日本語の構造です。

「全力を出し切って頑張る」という主旨を伝えたい場合は「最善を尽くす」を用い、「不備のないよう徹底的に準備を固める」という事前措置を伝えたい場合は「万全を期す」を用いるのが適切な使い分けです。発注書や対外的なプレスリリースにおいて「万全を尽くしてまいります」と記してしまうと、日本語の基礎知識を疑われる契機になりかねません。

井上 凛

井上 凛

シニアコンテンツプロデューサー

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

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