容疑者Xの献身あらすじと結末の真相|天才石神が仕掛けた完全犯罪
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発見された富樫の遺体は、顔が鈍器で潰され、指紋がバーナーで焼き消され、着衣は燃やされていました。さらに現場近くには盗難された自転車が放置されており、警察は身元特定に時間を要したものの、遺留品の衣服の繊維と自転車の指紋から遺体を富樫慎二と断定します。富樫が死亡したとされる日の夜、花岡靖子と美里には完璧なアリバイが存在していました。映画館で映画を鑑賞し、ラーメン店に立ち寄り、カラオケボックスで歌っていた事実が、半券や店員の証言によって完全に証明されたのです。
警察がどれほど母娘を疑っても、その鉄壁のアリバイを崩すことはできません。しかし、このアリバイ工作の裏側には、常人の想像を絶する容疑者Xの献身 トリックの真相が隠されていました。
天才数学者・石神哲哉が仕掛けた「認知のすり替え」
警察や読者が抱く「富樫が殺害された日の母娘のアリバイをどう偽装したのか」という問いそのものが、石神の仕掛けた巨大な罠でした。石神が行ったアリバイ偽装の手口の全貌は以下の通りです。
- 犯行日の偽装:母娘が富樫を殺害したのは3月10日の夜。しかし警察が特定した富樫の死亡推定時刻は3月11日の夜であった。
- もうひとつの殺人:石神は3月10日に殺害された本物の富樫の遺体を別の山中に遺棄し、翌3月11日、新大橋近くに住む身寄りのないホームレス(技師と呼ばれていた男性)を言葉巧みに連れ出し、富樫の身代わりとして絞殺した。
- 偽装の完成:ホームレスの顔を潰し、指紋を焼き、富樫の衣服を着せて放置。さらに富樫が宿泊していたホテルに侵入して痕跡を残し、捜査機関に「この死体は富樫である」と誤認させた。
警察が確保した「3月11日の夜、母娘にはアリバイがある」という証拠は、何ひとつ偽りのない完全な事実でした。石神は、靖子たちにアリバイを作らせるために、無関係な第三者を殺害して殺人事件そのものを差し替えるという狂気的かつ数学的な解法を実行していたのです。