人権はなぜ制限されるのか?公共の福祉の正体を具体例と判例で解剖
人権はなぜ制限されるのか?公共の福祉の正体を具体例と判例で解剖とはどのようなものなのか? 詳しい意味を簡潔に解説します。
経済的自由に対する規制であっても、国が行き過ぎた制限をかければ裁判所に「ノー」を突きつけられます。最高裁判所が法律を違憲と判断した伝説的な判例が2つあります。
1つ目が、1975年の薬事法距離制限事件です。当時の薬事法には「新しく薬局を開く場合、既存の薬局から一定の距離を離さなければならない」というルールがありました。国側は「過当競争で薬局が倒産すると不良医薬品が流通する恐れがある(国民の健康保護=公共の福祉)」と主張しました。しかし最高裁は、不良医薬品の流通防止は行政の抜き打ち検査などで達成可能であり、出店距離まで縛るのは職業選択の自由に対する行き過ぎた制約であるとして、規定を違憲・無効と判断しました。
2つ目が、1987年の森林法共有林事件の判例です。森林法では、共有持分を持つ山林について、持分が半分以下の者は分割請求ができないと定められていました。山林の細分化を防ぎ森林資源を保護するという名目でしたが、最高裁は財産権(憲法29条)の制約として手段が不合理かつ過剰であるとし、これも違憲判決を下しました。
国が「公共の福祉のためだ」と看板を掲げても、その手段が本当に必要最小限であるかを司法が厳しくチェックする体制が機能している証左です。