ストーンヘンジの謎を解く!建設理由と巨石運搬の最新科学に迫る
ストーンヘンジの謎を解く!建設理由と巨石運搬の最新科学に迫るの特集記事を解説します。専門的な知識が詰まっています。
ストーンヘンジを構成する石材は、大きく分けて外側の巨大な「サーセン石(砂岩)」と、内側に配置された青みを帯びた「ブルーストーン(火成岩等)」、そして中央に横たわる「祭壇石(アルターストーン)」に分類されます。特に考古学者たちを驚愕させ続けているのが、その調達場所の遠さです。
最大で1個あたり30トンを超えるサーセン石は、遺跡から北に約25km離れたマールバラ・ダウンズ近郊のウェストウッズから運ばれたことが蛍光X線分析で突き止められました。一方、重量2〜4トンのブルーストーン約80個は、直線距離で約220km、陸路や水路を辿れば240km以上離れたウェールズ南西部のプレセリ丘陵から運ばれてきたことが岩石学的調査によって完全に証明されています。
さらに学術界を揺るがしたのが、中央の祭壇石(約6トン)に関する分析結果です。従来考えられていたウェールズ起源ではなく、遺跡から約750km以上離れたスコットランド北東部(オークニー諸島近郊のオルカディアン盆地)から運ばれた砂岩であることが判明しました。これは、新石器時代のブリテン島全土に、高度に組織化された長距離海上・陸上輸送ネットワークと部族間の強固な同盟関係が存在したことを物語っています。
巨石の運搬方法については、丸太を使った木製ソリによる牽引、動物の油脂を用いた摩擦低減、河川や海岸線を利用した木造筏(いかだ)やカヌーによる舟運の組み合わせが実験考古学によって実証されています。数千人規模の労働力を長期間動員し、規律正しく作業を完遂させた土木マネジメント能力は、当時の社会構造が極めて高度であった証拠といえます。