平尾昌晃『カナダからの手紙』大ヒットの深層と畑中葉子との秘話
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昭和歌謡史における『カナダからの手紙』の誕生は、極めて革新的な育成・プロデュース手法から始まりました。1970年代中盤、作曲家として不動の地位を築いていた平尾昌晃氏は、後進の育成を目的として平尾昌晃ミュージックスクールを開校。全国から才能ある若者が集まる中、東京校の生徒として頭角を現したのが八丈島出身の畑中葉子さんでした。
当初、畑中さんはソロシンガーとしてのデビューを目指してレッスンに励んでいました。しかし、平尾氏は彼女の持つどこまでも澄んだ透明感のある歌声と素朴なキャラクターに強く惹かれ、「師匠と弟子がデュエットでデビューする」という当時としては異例のプロジェクトを発案します。制作陣の間では「プロの作曲家が弟子のデビュー曲で一緒に歌うのは前例がない」と慎重論も出ましたが、平尾氏の確信は揺らぎませんでした。
作詞を担当したのは、平尾氏と数々のヒット曲を生み出してきた盟友の橋本淳氏。編曲には名匠・森岡賢一郎氏を迎え、万全の布陣でレコーディングが進められました。スタジオでは、平尾氏が畑中さんの緊張をほぐしながら情感豊かな歌唱を引き出し、18歳の少女が放つ初々しさと大人の包容力が見事に調和した奇跡のテイクが完成したのです。