強盗致死罪の量刑相場と実態|死刑・無期懲役と減刑の境界線を解説

強盗致死罪の量刑相場と実態|死刑・無期懲役と減刑の境界線を解説の概要と注目ポイントを一挙に解説しました。

法定刑が「死刑または無期懲役」しかない強盗致死罪において、なぜ懲役15年や20年といった「有期懲役」の判決例が存在するのでしょうか。その鍵を握るのが、裁判官および裁判員の裁量によって刑を減軽できる刑法第66条の「酌量減刑」です。

刑法第68条の規定により、死刑を減軽する場合は「無期懲役」または「20年以上の有期懲役」になり、無期懲役を減軽する場合は「7年以上の有期懲役(上限は30年)」となります。つまり、犯行に至った経緯に同情すべき余地がある、あるいは被告人の関与が従属的であるなど特別な情状が認められた場合に限り、裁判所は刑を半分に減軽し、懲役7年から30年の枠内で量刑を言い渡すことが可能になるのです。

最高裁判所が公表している司法統計年報や裁判員裁判の実施状況データを精査すると、強盗致死罪(強盗殺人を含む)で起訴された事件のうち、無期懲役が選択される割合はおよそ4割から5割、有期懲役が選択される割合もおよそ4割から5割で拮抗しています。死刑が選択されるケースは、殺害された被害者が複数に及ぶ事案や、極めて残虐・計画的な単数殺害事案に限られ、全体の数パーセント程度です。

罪名・分類法定刑の定め裁判員裁判の量刑相場司法判断の分かれ目・傾向強盗殺人罪(明確な殺意あり)死刑 または 無期懲役死刑 〜 無期懲役(有期刑は稀)被害者2名以上なら死刑基準。1名でも残虐な手口や口封じ目的の場合は死刑の可能性大。強盗致死罪(主犯・単独犯)死刑 または 無期懲役無期懲役 〜 懲役20年〜25年前後暴行の危険度が高ければ殺意を擬制。自首や即座の救護要請がない限り有期刑でも長期化。強盗致死罪(従属的実行役・見張り)死刑 または 無期懲役懲役12年 〜 懲役18年前後暴行に直接関与せず制止した証跡や、自首・捜査協力がある場合に酌量減刑が適用されやすい。強盗致傷罪(傷害にとどまる)無期 または 懲役6年以上懲役6年 〜 懲役12年前後被害者の後遺障害の程度や財産の被害額、示談の有無で量刑が大きく上下する。

有期懲役が適用された過去の判決事例を見ると、相場となる中央値は「懲役13年から20年」の間に集中しています。懲役7年といった法律上の下限に近い判決が下されるのは、犯行現場で共犯者の暴行を必死に制止しようとした、あるいは直後に自ら119番通報して心臓マッサージを行うなど、結果発生を防ごうとする真摯な行動が認められた極めて例外的なケースに限られます。

佐々木 一輝

佐々木 一輝

ビジネス戦略アナリスト

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest